日本には、いったいベンチャー企業がどのくらい存在するのでしょうか?
ジャスダック、ヘラクレス、マザーズといったいわゆる「新興市場」には、現在1300以上が上場。中小企業基盤整備機構によると上場「予備軍」は約2万社といわれます。これ以外に、必ずしも上場を目指さない企業もありますから、年々拡大する市場規模や、それに伴う労働者の増加などを考えると、もはやベンチャー企業は無視できない存在です。
では、ベンチャー企業は、社会にどのような役割を果たしているのでしょうか?
第一にあげられるのは、「雇用の創出」です。
やや古いデータになりますが、1987年、アメリカの有力ビジネス誌『Inc.』が国内の企業動向について外部委託により調査したところ、次のようなことが分かりました。

毎年税務申告書を提出している2000万社のうち、140万社が年15%以上の成長率を誇っており、これらの企業が企業間取引の44%を占めていました。このなかには大企業も多少含まれていますが、大半は比較的規模の小さな成長企業です。また、1980年代後半の4年間にアメリカで新たに生み出された雇用の58%は、従業員数20人以下の小規模な企業から創出されたことも分かりました。
同様の現象は、アメリカだけではなくヨーロッパでも確認されています。いずれ日本でも、従業員20人以下の成長企業が雇用の受け皿として台頭してくるでしょう。
ベンチャー企業は、アントレプレナーシップ(起業家精神)を持ったリーダーを育成し、輩出するという社会的役割も担っています。
こうした企業の代表格が、リクルートです。同社はもともと、学生起業家が創業したベンチャー企業でした。ですが、同社出身者はビジネスのみならず幅広い分野で活躍しています。ネクスト・井上高志社長や『iモード』の生みの親・松永真理氏。東京大学副理事・竹原敬二氏、西宮市議会議員・今村岳氏――。同社以外にも、優秀な人材を輩出するベンチャー企業は少なくありません。
アントレプレナーシップは勉強で身につくものではなく、一からビジネスを立ち上げるような環境に身を置き、現場で鍛えるほかありません。
ですが、そこで身についたスキルや経験は、業界や分野を超えて通用します。

長い歴史を持つ業界や、大企業数社が寡占する業界の場合、ユーザーが「もっとこうだったらいいのに……」と思っても、企業側が変化を嫌うためにサービスが向上しにくくなりがちです。こうした業界の閉鎖性を打ち破るのも、ベンチャー企業の役割です。
ネクストは、マンションの購入を検討している人が、複数の会社が取り扱う物件を同時に比較できない点に着目、不動産のポータルサイトを立ち上げました。
また、リフォーム会社・エムビーエスは、新築物件でも数年経てば外壁補修が必要となる点に着目。イギリスのメーカーと提携して外壁の耐久力を高める塗装材を開発実現しました。
ベンチャー企業の成功事例により他社も市場に参入すれば、市場は活性化し業界も変革します。その結果、ユーザーは商品価格の低下やサービスレベルの向上といったメリットを享受できます。
経済活動の活性化への貢献も、ベンチャー企業の役割です。
たとえば、「納税」。一企業が納める税金は、仕入れなど購買を行った時に課せられる消費税などの「間接税」と、利益に対して課せられる法人税などの「直接税」の2種類があります。これらを納めることで、社会貢献を果たしています。
企業の「購買力」も無視できません。人を雇い事業を行うには様々な備品が必要です。これらを購入すれば、販売企業やメーカーの利益に寄与します。
ですから、企業の業績が伸び、購買力が大きくなれば経済の活性化に結びつきます。

実際、日本の事業所総数の98.9%は中小企業であり、GDPの25%は中小企業から生み出されています。世界のGDPに占める日本の割合は15%ですから、すなわち日本の中小企業は世界経済のGDPの3.75%を支えているのです。
このようなデータからも、中小・ベンチャー企業が社会に対して大きな影響力を持っていることが分かります。




